海は、遠くからみると青い。 

けれど、近づいて手のひらですくうと透明です。色がありません。光に満たされて白いのとは違います。白はそれ自体がひとつの色だったけれど、透明には色が ない のです。私は ある ことと ない ことについて思いを馳せながら海の色で布を織り、貴方へ贈りたいと願います。一枚は で織ります。これをフェルメールが絵に描きました。もう一枚透明 に織ります。これはメムリンクが絵に描きました。

Johannes Vermeer

Hans Memling

に触れてみてください。触れると、鏡に映る貴方の顔のように絵の左右が反転することでしょう。

現実 の世界からみると 物語 の世界は鏡の中にあります。なので、現実の世界からみると物語の世界は左右が反転してみえるかもしれません。逆に物語の世界からみると現実の世界は左右が反転してみえるかもしれません。私は Hania Rani のピアノを聴きながらフェルメールの絵とメムリンクの絵に交互に触れます。触れるたびに絵を反転させて、現実にみえる世界と物語にみえる世界を行き来するように楽しむのです。何度も繰り返し交互に触れていると次第にどちらが現実でどちらが物語であったかわからなくなってきます。

C4の菅生トンネルに1つの星が輝きます。

海は遠くからみると青い

けれど、近づいて手のひらですくうと透明だ。色がない。光に満たされて白いのとは違う。白はそれ自体がひとつの色であったが、透明には本当に色がない。ゼロだ。私は ある ことと ない ことについて思いを馳せながら海の色で布を織り、貴方へ贈るだろう。ひとつは で織る。それをフェルメールが描く。もうひとつは 透明 に織る。それをメムリンクが描く。絵は現実の美術館に展示されるであろう。

Johannes Vermeer

Hans Memling

語の世界は現実世界からみると鏡の中にある。現実から手を伸ばして絵に触れると、鏡に映る貴方のように絵画の左右が反転するであろう。何度も繰り返して交互に触れていると、次第にどちらが現実でどちらが物語であったかわからなくなってくる。

C4の菅生トンネル内に1つの星が輝く。